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山本実歩さん 写真コース

作品タイトル:「あの時から10年」
写真コース4年生の山本実歩さん<以下:山本>に、総合領域1年生の山本理佐子<以下:山本(広報)>がインタビューしてきました。


1月31日 最終回

──卒業制作展3日目に最終回にあたる6回目のインタビューをするために会場でお会いする約束をしていたのですが、京都市美術館へ行く地下鉄で偶然お会いしたので、会場までご一緒させていただきました。

山本:あ、そういえば、優秀賞をいただきました。

山本(広報):本当ですか!おめでとうございます!

山本:受賞したら賞品みたいな物も貰えるらしいから、嬉しいわ~。

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──会場について見てみると、山本さんの作品タイトルの下に「優秀賞」の文字が。山本さんもとても嬉しそうです。

 

──山本さんの作品のタイトルは「あの時から10年」ですが、初めて伺ったときは異なるタイトルを教えていただいていました。

山本(広報):そういえば、初めて聞いたときは「心地いい距離感」というタイトルを教えて貰っていたんですが、途中で変更された理由は何だったんですか?

山本:「心地いい距離感」は、先生に「タイトルを決めてから作品の方向性が決まってくることもあるし、つけたほうがいい」って言われて、とりあえずでつけたようなもんやったから。それで、自分のポートフォリオに文章を書かないといけない時に、「あの時から10年」というものを思いついて、タイトルの締切1日前に変更して提出しました(笑)

山本(広報):けっこうギリギリだったんですね(笑)

山本:締切過ぎた頃に先生に「“日”じゃなくて“時”でいいの?」って聞かれたりもしたな~。「時」にしたのは、親が離婚するまでの時間の流れが個人的に早く感じたからって先生には説明したけど。(注:初回インタビューでもご紹介しましたが、山本さんのご両親は10年前に離婚されており、卒業制作のテーマは家族──特にお父様との関係性を軸に構成されています。離婚のタイミングが山本さんの小学校卒業直前で、卒業式などの行事もある大変な時期だったので時間の流れを早く感じられたそうです。)

山本:今のタイトルはこだわりのあるものなんですね。

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山本(広報):将来は自分で撮った写真の写真集を出したいって思ったりしますか?

山本:一応、制作もしていくつもりではあるけど、一人で活動するつもりはないかな。

山本(広報):一人でするつもりはないとは?

山本:今年から成安を卒業した先輩とグループ組んだから、そっちで活動していくつもり。グループ組んだ人らを良く知ってる人からはよく「なんでその3人なん?」って聞かれる(笑)

山本(広報):珍しい組み合わせなんですか?

山本:学年も違うし、イラストレーションコースとグラフィックデザインコースと写真コースやからコースがバラバラなんよね。グラフィックデザインコースの先輩とは響心祭(成安造形大学の学園祭)の実行委員の繋がりがあって。

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──山本さんは写真スタジオに就職が決まったそうです。仕事として写真を撮ることのできる写真スタジオという職場は、山本さんが写真コースで4年間学んだことを発揮することのできる、最適な職場だと思います。山本さんは卒展会場でも、とても嬉しそうに先生方に報告されていました。

──取材の間、写真コースの学生が少ないことを嘆かれていたのですが、学年の上下に関係なく仲が良かったり、先生とのコミュニケーションが多かったりと人数が少ないからこその良い事を見かけましたし、私は山本さん本人も楽しんでおられるように思えました。

──現像などの作品制作中に何度もインタビューをさせていただき、邪魔になったこともあったと思いますが、自分にも来るであろう卒業制作の現場を知るいい機会になりました。特に、私が所属する総合領域では自分で施設を使用する授業を選択しない限り入ることのできない暗室の作業はとても興味深かったです。短い期間でしたが、インタビューを受けてくださり、ありがとうございました。


5回目 1月20日

──この日は実習F棟の2階にある写真仕上げ室で作業されていました。額縁のサイズに合うように写真を切られている最中でしたが、作業をしながらインタビューに答えてくださいました。

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山本(広報):グラウンドに積もった雪に足跡で書かれてたんですけど、卒展までいよいよあと10日ですね。

山本:ひゃ~!あと10日かぁ。いや、でも搬入の日とか考えると10日もないよ。まぁ、作品制作は24、25日には終わる予定になってはいるけどね。

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山本(広報):現像した写真はどれくらい切られるんですか?

山本:オーダーメイドの額縁の裏板と同じ大きさになるくらい。

山本(広報):見たところ、裏板から窓までの幅の差が1cm程しかないので、ちょうどいい大きさに切るのは大変そうですね。

山本:切り過ぎてしまうと窓から写真の端っこが見えちゃうからね。

山本(広報):何枚ぐらい切り終わったんですか?

山本:とりあえず今切ってる写真も入れて4枚かな。今日は切れるだけ写真を切る作業をしようと思っています。

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──話題は額縁の塗装の話に移りました。

山本(広報):塗装の作業は進んでますか?

山本:前まではスプレーで額縁の色を変えようと思ってたんやけど、やっぱり塗装をするのはやめることにしました。

山本(広報):えっ、そうなんですか?何か理由があったんですか?

山本:「額縁の色はもう少し濃い方がいいんじゃない」って助言も貰ったりしてスプレーで塗装しようと思ってたんやけど、なかなか上手く塗装ができなかったり時間の関係で、額縁の元の素材の色のままでいいかなと思って。

 

──大きさを間違えて切ってしまった写真が何枚かあるらしく、「また暗室で現像しないといけないなぁ」と山本さんがおっしゃっていました。引き伸ばしの際の色のバランスや秒数の設定はもう控えてあるので1回目の現像作業よりはかかる時間が短くなりますが、それでも現像には時間がかかってしまいます。現像し直さないといけないミスを起こさないように、写真を切る作業も最後の最後まで気が抜けないなと思いました。


4回目 1月12日

──今回は卒業制作の写真を収める額縁作りの最中にインタビューさせていただきました。

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山本:卒業制作の作品の額は、去年の進級展の時に業者に注文して作ってもらった額縁の色を変えたものを使おうと思います。どうやって色を変えようか色々と試したんだけど、スプレーで色を変えることにしました。スプレーをかけたままだとツヤがでてしまうこともあるから、紙やすりもいっしょに買いました。

山本(広報):ツヤが出てしまうといけないんですか?

山本:自分の中のイメージとは違うから。

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──山本さんが持ってこられた額の中には少し小さな額もありました。

山本(広報):この小さな額はどういう風に使われるんですか?

山本:かなり昔に撮った写真を入れるつもり。昔に撮った写真は大きく引き伸ばすと汚いっていうか、荒れが見えてしまうから。

山本(広報):こちらもオーダーメイドされたんですか?大きい方はサイズなどにこだわってオーダーメイドされましたよね。

山本:いや、自分の幼いころを写した写真なんで、あえて家でも飾ってあるような一般的なサイズのものを使いたくって、既製品を選んでみました。

 

──スプレーがかかってしまうといけないところをマスキングテープで覆う作業を私も一緒に手伝わせていただいていると、写真コースの学生数が少ないという話題になりました。

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山本:学生が多かったら経験できんかったようなことも経験できたし、よかったけどね。

山本(広報):どんなことを経験されたんですか?

山本:いろいろね~。例えば、メディアの3年生が選択できる授業でドキュメンタリー研究っていうのがあるんやけど、映像と写真の2人の先生が教えてくれるのに対して学生が私1人やったり。

山本(広報):いいですね、先生一人占めできるじゃないですか(笑)

山本:いや~。2対1は肩身狭いよ(笑)

 

──最近はほぼ毎日暗室で作業をしていると山本さんはおっしゃっていました。卒業制作の過酷さを感じます…


3 回目 12月27日

──この日は暗室作業にお邪魔させていただきました。

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──暗室には自動現像機(CP51)という、自動で写真を現像する機械があります。自動現像機の中には現像液、定着液、スタピライザーという3種類の薬品が別々に貯められており、ローラーによって印画紙が運ばれ、順番に薬品に浸されることによって、機械から出てくる頃には写真が現像されています。自動現像機の準備には最長1時間かかってしまうので、山本さんは早速準備に取り掛かられます。

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──現像機の中で印画紙を流すために使われるローラーを洗う山本さん。

山本:暗室作業を終える時と始める前に一回一回このローラーを洗わないとアカンのよね。

山本(広報):一回洗っているのに始める前にも洗うんですか?

山本:前回の作業の汚れが残っちゃってたりすると、写真に影響するからね。でもこのローラーが結構重くてさ、洗うのとか慣れないと機械の立ち上げに時間がかかっちゃう。機械を温める時間も必要やし。

山本(広報):うわっ、重いですね!これを4つも洗ってたら時間もかかっちゃいますね。

山本:ローラーはさらしで洗うんやけど、そのローラーが浸かってる薬品によってさらしを使い分けてます。

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──暗室の壁には自動現像機の使い方や薬品の注意が書かれた紙がたくさん貼られていました。中には「廃液を混ぜると人体にとって非常に有毒なガスが発生することがあります」という注意書きもありました…

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山本:自動現像機を使う時は必ずオーバーフローするように気を付けています。

山本(広報):オーバーフローされないとどうなるんですか?

山本:自動現像機はタンクから定期的に新しい薬品が供給されるようになってるんやけど、使われた廃液が廃液入れに流れ出なくて、薬品が正常に循環してくれなくなっちゃう。古い薬品が機械に入ったままになるから、きちんとした色が写真に出なくなっちゃうかな。

 

山本:…しまった。薬品がない。

──スタピライザーのストックが切れていたことに気づいた山本さん。

山本(広報):まだタンクに少し残ってますが足りなさそうですか?

山本:うん。1回の暗室作業で10リットルぐらい必要やから。今ある量やと1枚焼けるか焼けへんぐらいかな。

──この日は購買がお休みでしたが、守衛さんに頼んで特別にスタピライザーを売っていただくことができました。

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──購買には他の薬品も置いてあります。

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──スタピライザーは原液を10倍に希釈して使います。

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──自動現像機が温まると山本さんは何か細長い紙を流し、リングに通しました。

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山本(広報):そのリングにまとめられているものは何ですか?

山本:コントロールストリップっていいます。自動現像機が準備できたらまずこれを流して、色で薬品の変化を確認します。

 

──作品の写真を現像する時はカラービューイングフィルターを使い、何色が足りていないのかを判断します。

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──何色が足りていないのかがわかると引き伸ばし機の上部にあるつまみを調節して写真全体の色を変化させます。

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──思い描いている写真の色になるまで、この作業を繰り返します。

 

山本(広報):1回の作業で、何時間ぐらい暗室に入っておられるのですか?

山本:大体12時ぐらいに入って、22時ぐらいに作業終えて暗室から出るかな。早い時は9時とか10時に暗室に入ることもあるよ。

山本(広報):じゃあ、9時間・10時間作業されてるんですか?!

山本:でもほとんど自動現像機から写真が出てくるのを待ってる時間やったりするから。写真が出てくるのに5分ぐらいかかるのよね。カラービューイングフィルターを使って色の調節も何回もしないといけないから1日に3.4枚写真が完成したらいい方かな。

 

──11時から19時ごろまでご一緒させてもらいましたが、山本さんは19時以降も作業を続けられていました。

次回は作品を収める額作りをインタビューさせていただきます。


2 回目 12月5日

──今回のインタビューでは、就職活動の際に企業に持っていくポートフォリオを見せていただきました。

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山本(広報):2回目のインタビューよろしくお願いします。では、さっそくポートフォリオを見せていただきます。

山本:はい、どうぞ。

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山本:これは2年生の時に動物園の飼育員さんを撮った作品です。グループ展をひらいたときに出展しました。

山本(広報):「働く人」という感じのテーマの展覧会だったんですか?

山本:そうそう!あ、「支える人」だったかな。

──この作品の中に、飼育員が動物の檻の前に座り込んで機械を触っている写真がありました。

山本(広報):写真を見た感じでは、撮影している山本さんの前に柵があって飼育員さんに近づけないようになってますね。

山本:何してはったんやっけ……確かそこがサルの檻なんやけど、サルが数字を押していような実験をしていた気がする。

山本(広報):私、テレビでしかその実験みたことないです(笑)

山本:うん、たまたま写真撮りに行ってた時にやってた。

 

山本(広報):そのグループ展は写真コースのグループ展だったんですか?

山本:そう。写真コースは2年になったらグループ展するから。

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山本(広報):これがそのグループ展の写真ですか?

山本:うん、ちょっと画質悪いけどね。

山本(広報):どこかギャラリーを貸りられたのですか?それとも学内でやられたのですか?

山本:大阪のGallery TOONっていうところを貸りて、2人でしました。写真コースは元から人が少ないので…

 

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山本:これは進級制作展と個展に出した作品です。上の写真は今年の2月あたりに開いた個展の様子です。“家の表札の写真から始まって、学校の写真で終わる”っていう風にしたくって。

山本(広報):横長の写真が一列に並んでいるからか、次の写真に目が自然と移りやすいのでストーリー性を感じます。写真そのものはどれくらいの大きさだったのですか?

山本:横幅は全紙サイズピチピチです。気づかないうちにフィルムのサイズに近づけようとしてるのか、プリントしてみると長細い写真になってます(笑)それで、写真のサイズに合わせて額を作ったので結構お金かかりましたね。

山本(広報):オーダーメイドですか?

山本:そう。実際に使用して展示したのは17枚やけど多めに25枚注文して、12万6千円ぐらいしたよ。

山本(広報):そんなにしたんですか?!でも25枚ですもんね。

山本:これでも安くしてくれたらしいよ(笑)

山本(広報):この個展のDMは自分で作られたのですか?

山本:データを作って、印刷は業者に頼みました。ギャラリーにもDMを100枚くらい渡しておかないといけなくって、合計500枚刷る必要があったので。

山本(広報):ギャラリーにたくさん渡さないといけないんですね…大学にも置いてもらいましたか?

山本:食堂とかに置かせてもらったよ。知り合いには自分で配ったし、京都にある他のギャラリーにも頼んでDMを置かせてもらいました。 あ、そういえばこの個展の展示風景は自分で撮ったんじゃないんよね。ギャラリーH2Oっていうところで個展を開いたんやけど、ギャラリー側がカメラマンにわざわざ頼んで展示風景を撮ってもらえたんよ。ここのギャラリーは少し料金が高いけど、しっかりしてるところやからおすすめかな。

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山本(広報):人に頼まれて写真を撮ることもあるようですが、印象に残っている依頼は何ですか?

山本:依頼とは違うと思うけど、卒業アルバム委員会に入ってた時に撮らせてもらった卒業式の写真かな。

山本(広報):卒業アルバムに載せる写真って、かなり責任のある仕事ですよね。

山本:ちっちゃいデータで撮ってしまって、先輩を困らせてしまったことは何回かあります(笑)

山本(広報):データの小さな写真はどうされたんですか?また撮りに行かれたのですか?

山本:もう撮ることができないものはそのまま使ってはったね…

 

山本さんは卒業アルバム委員会の他にも響心祭(成安造形大学の学園祭)の実行委員を経験し、行動的な大学生活を過ごされていたようです。

──次回のインタビューでは、暗室での作業にお邪魔させていただきます。


1 回目 11月26日(火)

B棟1階B106 写真演習室

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山本(広報):インタビューよろしくお願いします。

山本:はい、お願いします。

山本(広報):制作は順調に進んでいますか?

山本:写真は1年くらい制作にかかるから、4月頃から始めてるし、まぁまぁかな。

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山本(広報):それでは、卒業制作の作品のコンセプトを教えてください。

山本:コンセプトな~ちょっとコロコロ変わってるんやけどね。

まぁ、父親を撮ってて。親が離婚してて一緒に住んでなくって、父親がどこに住んでるのかも一時期知らなくって。それを知りたいなって思ったのがきっかけで撮り始めて、今に至る・・・。

山本(広報):作品のストーリーとしては“父親を見つけるまで”ですか?

山本:いや、昔の写真もひっぱり出してそれも使うから、どっちかって言うと“昔からの父親との関係性”を出していこうかなって思ってる。

山本(広報):どうして作品の対象を父親にしようと思われたのですか?

山本:実は、去年のメディアの選択の授業でドキュメンタリー研究っていう授業があって、その授業でお父さんとか家族を題材にした作品を見たり、先生とか一緒に授業を受けてた子の家族の話もしたりしてたんよ。自分の家族の話もしていくなかで、離婚してるのもあって自分の家族は他の人から見たらちょっとおかしいというか、おもしろい家族に見られたから、それをテーマにしてみようかなって思って。

山本(広報):周囲の影響が大きいですか?

山本:もともと友達と家族の話を喋ってるなかで、親が離婚してるって話になったら、まずかったかなって顔されることが多くって。

それで、自分の家族を作品にしたらどうなるんかなって思ったから。

山本(広報):山本さんは離婚のことを聞かれるのは何ともないですか?

山本:別に全然。父親とも頻繁に会ってるからね。

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山本(広報):卒業制作で写真の作品を展示して、見た人にどういったことを感じてもらいたいと思われていますか?

山本:『こんな家族もあるんやな』ってことが一番思われるだろうけど、『じゃあ、自分の家族はどうなんやろ』って。自分の家族の関係とか自分の家族が普通と思ってるけどそうじゃないんじゃないかなっていうことも考えてもらえたらいいかな。

山本(広報):なかなか自分の家族の関係を見直すことってないですよね。

山本さんの家族の関係を写した作品を鑑賞し自分の家族と比較することによって、鑑賞者が自分の家族の関係に改めて気づくいい機会になると思います。

 

山本(広報):今日はインタビューに協力してくださってありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

山本:こちらこそお願いします。

 

──次回は、今までに制作した作品をまとめたポートフォリオを見せていただくことになりました。
私個人としても写真に興味があるので、どのような作品を制作してこられたのか、ポートフォリオを拝見することが楽しみです。

 


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